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JRから転属したトラ7000「トロッコ列車」に代わる新しい観光列車を導入すべく、UPR初の自社新造観光列車「風来坊」を新造する。ICTのUR−KW400のシステムを活用しているので、同形式であるが、車番は各車A・B・Cになっている。
1.車体
ICTの車体構造をベースに、A・B車はハイデッカータイプとし、窓を大きくしている。また、C車は窓が取り外せるオープンタイプになっている。プラグドアは、各車片側1つずつである。窓は、UVカットガラスを使用しているが、なるべく着色の少ないものを使用し、車窓を原色にとどめている。先頭車の前頭部は展望性を高めるため非貫通とし、大型1枚窓を採用。一般者と違う独特の顔つきをしている。車体色はアルミ無地仕上げとしながらも、下部はグレーに塗装している。
2.客室
通勤型のICTをベースとしているが、特別車両なだけに、CETの自然の要素を取り入れている。A・B車は前半分がハイデッカー構造になっており、通路はスロープ、座席はそれにあわせて段々に配置され、どの席でも前面展望が可能である。座席は廃車になったUR-KE1000のハイバックシートが再利用されたが、回転はできない。展望室へは階段を使うが、車椅子用リフトが設置されている。中間部分は、A車は大型トイレ、B車は車販基地室になっている。後ろ半分はコンパートメントで、和風料理店さながらの畳敷きであり、柱も本物の杉を使用。通路との境には障子戸が使われ、職人モノばかりにしている。1車両につき3〜5人×2組まで利用できるが、仕切っている障子戸をはずせば10人までの小団体に対応できる。中間車C車も畳敷きの座敷車で、中央に通路を配し、4人で向かい合うテーブルが設けられている。また、テーブルの直下は40cm掘られており、(いわゆる堀コタツ式)楽に足をだらけさせられる。背もたれには、旅館でよく見る座椅子を使用してもらう。(もちろん座布団つき)窓のない開放式ではあるが、窓をはめ込むこともでき、冬期にはお座敷列車としても使用できる。
3.運転室
非貫通なので、UR-KR300と同じコンソールデスクを採用している。トロッコとして運転するとき、速度が上がり過ぎないように、力行してても45km/h以上は上がらないリミッタースイッチが新設された。また、従来のように時刻表はモニター表示できないので、この部分は時刻表立てになっている。
4.制御関係
ICTは3両の場合2M1Tが基本であるが、「風来坊」は中間C車をはずしてA・B2両で走れるようになっている。よってUR-KW400と同じ2両ユニットでのシステムを持ち、そこに付随車のC車を組み込んでいる。1M2Tなので、加速時に若干のロスが生じるが、40km/hで走るにはよく、120km/hは出るので問題ないとした。くまもと菊吉線での営業に備えて「ACB」が取り付けられている。
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UR-KW400F「風来坊」は、熊本電車区に3両1本配置され、10/1からトラ7000に代わって臼三田園線・くまもと菊吉線で営業を始める。ほかにも、回臨などで他線にも顔を出すだろう。
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