天草観光重視のローカル特急

　熊本には観光を主目的として走っている特急がある。「あまくさ」がそれで、2004年春にくまもと空港線とくまもと天草線が開業したときに誕生した。近年、天草諸島の観光需要は停滞しており、明らかに観光施設の利用者数が減っている。特に、大阪・東京あたりでは「天草」という名前すら周知されず、全国区としての知名度はさっぱりしてしまった。原因は交通アクセスの悪さで、本土からの定期バスはとても遅く、飛行機さえもいつ飛んでいるのかわからないほどの便の少なさで、これが観光旅行としての選択枠に選ばれないことにつながっている。そこで、新たに開業した２線を利用して、熊本空港と本渡を結ぶ特急列車を設定し、天草へのアクセスを格段に向上させたのである。

　現在、「あまくさ」は1日5往復、うち4.5往復は熊本空港〜本渡間78.6kmを所要1時間半程度で結び、表定速度は78.7km/hである。このうち、熊本〜熊本空港間は特急料金不要の快速「エアライン」として走る。朝の熊本空港行きは、熊本に朝8時前に着くように設定され、沿線の通勤利用に配慮している。また、このうちの4往復は2006年に大分（別府）〜熊本空港間に設定された「あそ」との直通運転を行い、別府と本渡を4時間ほどかけて1本の列車でつないでいる。車輌はUR-KE2000の2両編成が使用されている。運転開始から少しずつではあるがツアー客が増え始め、「あまくさ」の利用状況も定着してきている。

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