着実に利用者を伸ばす天神（福岡）〜熊本間特急

　天神〜熊本間を結ぶ特急「しらぬい」は、熊本〜菊池間を走っていた快速「火の山」を昇格して生まれた列車で、その当時は天神〜熊本・人吉間を1時間おきに運転していた。このとき投入されたのがUR-KW1000で、普通車のみのものクラス3両編成という質素なものだったが、床にフローリングを用いた、UEDENで初めて自然素材を使った車両である。当初は利用が低迷していたが、天神に直行する列車として少しずつ利用者数が伸びて、UR-KW1000全列車にグリーン・普通合造車を組み込んで定員を増加させた。そして、2004年3月13日の九州新幹線開業に合わせて、「しらぬい」を30分間隔での運転とし、全列車八代発着とした上で新たにUEDENでも開業する新八代で新幹線に接続させることになり、車両増備のため新しくUR-KW2000を新造した。UR-KW1000とはまったく違う車内演出で、大理石やカーペットなど、ホテルのような車内となっている。正反対の２車を使用して、JRと同じ3月13日のダイヤ改正から30分間隔運転を始め、新八代で「つばめ」に接続するようになった（新八代での乗り換え時間はおよそ8分）。熊本だけでなく鹿児島からも「しらぬい」に乗車する人が出てきて、利用者数が大きく伸びている。また、天神久大線山鹿と、くまもと菊吉線植木ｲﾝﾀｰの間に短絡線を設けて所要時間を短縮、JRの特急とほぼ同じ時分にした。

　現在、「しらぬい」は1日32往復運転しており、このうちの3往復は熊本発着で、8往復が人吉まで直通し、残りの22往復が八代発着である。天神〜熊本間の通勤が多いため、朝の天神（福岡）行には貫通型のUR-KW1000が２本併結の8両で運転されることが多い。UR-KW1000は4両8本、UR-KW2000は5両11本あり、共通運用はされていないが、比率的にはUR-KW2000で運転される列車のほうが多い。最も速い八代発着の列車は表定速度93.8km/hである。半径300m以下の急曲線が介在する八代〜人吉を直通する列車はこの区間での最高速度が100km/hに抑えられるため、表定速度は若干落ちて87.6km/hである。それでも熊本〜人吉間は並行するJR特急で2時間近くかかるところを「しらぬい」は振子を発揮して1時間半前後で結んでいる。

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